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HOCUS POCUS by FOCUS

昨年くらいからYouTubeでやたら目につくコンテンツがあります。

それは、FIRST TIME REACTION

一般の音楽リスナーが初めて聴いた曲に対してコメントを述べ、その模様を自分のYouTubeチャンネルにアップするというもの。 アジア、アメリカ、ヨーロッパ、地域を問わず多くの人たちがやっていて、例えば竹内まりや2000年のライブでのPLASTIC LOVEの映像を見ながらのリアクション、特に後半山下達郎のコーダ部分でのバックコーラスに驚き、その驚愕の表情とコメントをアップすると言ったものも有ります。

そんな中で、今年になってあるミュージシャンのある曲の同じ映像を使用したFIRST TIME REACTIONが、やたらとアップされていることに気づきました。 これは殆どが欧米の人たちが載せていると思われます。1973年にアメリカで放送されていた深夜の音楽番組に出演したロックバンドの演奏シーンを観ながら、ある人は目を剥き、ある人は大笑いし、ある人は仰け反る。このひとつの映像に対するリアクション動画がその正確な数分かりませんが、30本以上は有るんじゃないでしょうか?

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観ていてあまりにも可笑しいので、それらのYouTubeの一部を切り取って編集した動画を私自身が作ってみました。先ずはご覧下さい。

HOCUS POCUS FIRST TIME REACTION

このFOCUSと言うバンドは、いわゆるプログレプログレッシブロックバンドであります。 プログレバンドの殆どはヨーロッパ、その中でもイギリス出身のグループが圧倒的です。ピンクフロイド、キング クリムゾン、イエス、エマーソン レイク&パーマー、ムーディ ブルースetc. 世界的人気を博したグループがいくつも存在し、70年代は一大プログレブームとなりました。 その中でオランダから出てきたのがこのFOCUSというグループ。 キーボードとフルートを担当するタイス・ファン・レアとギタリストのヤン・アッカーマンの二人を中心に結成された1970年代に活躍したロックバンドです。

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当時、日本でもかなりの人気を博して確か2回来日して、公演が行われました。私も大学生時代に中野サンプラザに観にいきました。演奏レベルが非常に高かったのと、後で書きますがヨーロッパ大陸出身ならではの独特の雰囲気と超絶テクニックに裏打ちされた複雑だけど難しく聞こえない「楽しい」サウンドは、とても魅了された記憶があります。 ここで演奏されているHOCUS POCUS ホーカスポーカス(日本タイトル:悪魔の呪文)は、彼らの2枚目のアルバムMOVING WAVESの冒頭を飾るインストルメンタルです。 彼らの代表曲として、彼ら独特のユーモアとメンバー各人の卓越した演奏能力が凝縮された一曲と言え、1973年には全米で9位のヒットシングルとなっています。

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Thijs van Leer

なお、この演奏動画はアメリカでのコンサートツアーの際、当地の人気テレビ音楽番組 MID NIGHT SPECIALに出演した時のもので、番組の時間制限のせいかレコードに比べ楽曲構成が大分はしょられていますが、その分ギターのパートが最初からいわば「全開」で演奏されています。 自分は、タイスの「ヨーデル」パフォーマンスは高校生の頃から慣れ親しんできたので今更驚く事はありませんが、ここで演奏されているアッカーマンの奇想天外のギターフレージングには、初めてFOCUSの音楽に触れてから50年近くが経っていますが、今回改めて打ちのめされました。そして、自分にとってJan AkkermanこそThe Most Favorite Guiteristで有ることの認識を新たにした次第であります。

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Jan Akkerman

先に挙げた動画でお分かりと思いますが、FOCUSは一般的にこのHOCUS POCUSのイメージがとても強いのですが、70年代初頭から75年までに発表された5枚のアルバムはどれも他のプログレッシブロックバンドとは、はっきり一線を画した独自のサウンドを構築しています。 どう一線を画しているかというと・・・ 「クラシックをベースにしたロック」と一口に言ってしまうと、エマーソン レイク&パーマーとどう違うの?って事になりますが、FOCUSはクラシックでもより古典〜バッハやハイドンをモチーフにしつつも、ロックンロールしています。そこに洒落たジャズの要素もふんだんに取り入れられていると言えばいいでしょうか。 そして、なによりもプログレとしても小難しくなく、ある曲は楽しく、ある曲は琴線に響き、そしてある曲は展開の早さに目が眩みそうになります。でもプログレにありがちな頭でっかちな音楽では決してありません。 ここで、私のオススメのナンバーを数曲ご紹介いたします。

 

FOCUS Ⅱ 

この一曲に彼らの魅力が凝縮されていると言っても過言ではありません。クラシック、ジャズ、ロックの様々な要素がすごくお洒落に、ドラマチックかつ流麗にまとめられています。テンポが違うこれだけの要素が4分間に凝縮され、しかもそれが決して「お腹いっぱいに」ならずにまとめられている点に彼らの作曲/編曲/演奏能力そしてセンスの高さを感じさせます。

Focus II

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アルバム MOVING WAVESに収録

 

Carnival Fugue カーニバルフーガ 

フーガ形式をベースにした4部構成の楽曲。2番目のパートではバッハのフーガがモチーフにされているかと思います。(クラシックに詳しい方よろしくご教授ください)3部はいかにもプログレ風味ですが、4部になると打って変わって先にも述べた彼らの「楽しい」音楽。ハモンドオルガンもギターもその音色とフレージングがとてもハッピーで、そこにピッコロが絡んできて、まさにカーニバルの情景が浮かびます。

F ocus - Carnival Fugue 

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アルバム FOCUS3に収録

 

Harem Scaremハーレムスカーレム 

彼らがロックンロールを作るとこんな感じになります。過去50年以上洋楽に親しんできましたが、こんな表現方法は他では聴いたことありません。

Focus - Harem Scarem 

La Cathédrale de Strasbourg

ストラスブールの聖堂 は、タイスとアッカーマンの織りなす孤高の音世界の極地とも言える作品。特に3:05から始まる8分の6拍子に乗ったギターソロが、3:30あたりからテンポが速まるにつれ極めて単純なフレーズのリピートになり、そこにほんの1小節だけ音の並びが違ったフレーズが奏でられまた元に戻ります。このセンスは1974年に新宿ディスクユニオンでレコードを買って以来、何度聞いても毎回必ず心に響きます。

Focus - La Cathedrale De Strasbourg 

上記2曲はアルバム HAMBURGER CONCERTOに収録

 

My Sweetheart マイスイートハート

FOCUSのアルバムとしては異色のMOTHER FOCUSに納められているファンキッシュなナンバー。このアルバムはもはやプログレと呼ぶには相応しくなくなっていて、アルバムジャケットのイメージと相俟ってとても明るくライトな印象です。しかしその音楽性として、相変わらず非常に高度なアレンジと演奏がなされています。この「マイ スウィートハート」もリズム、特にベースがドラムと共に従来の楽曲とは全く違ってファンキーなビートを刻んでいますが、曲のそこここにヨーロッパの香りがするのはクラシックに片足を置いたままだからなのでしょうか?大きくフィーチャーされたエレキシタールもいい感じです。

My Sweetheart - Focusの曲 - Apple Music

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アルバムMOTHER FOCUSに収録

まだまだご紹介したい彼らの素晴らしい楽曲は沢山ありますが、このブログで70年代にこんな素敵なバンドが有ったんだと気に入っていただければ、1ファンとして嬉しいです。  

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